転職を考える際、何を最優して会社を選びますか?給与のアップ、それともワークライフバランスでしょうか?
30代の転職で最も多い転職理由は給与アップです。そして給与アップを目指す場合、避けて通れないのがキャリアアップの視点です。
この記事では調剤薬局やドラッグストアでキャリアアップを目指す30代薬剤師のための転職戦略について記載しました。
その他の職種に関しては、以下の記事にまとめております。興味がある方はぜひご覧ください。
まだ間に合う!調剤以外での薬剤師転職の成功戦略
2024/1/21
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この記事の根拠
この記事は大手ドラッグストアの本部社員としてエリアマネジャー、広域エリア管理職、薬局運営部門、物販運営部門、医薬品管理部門で10年以上経験している筆者が採用企業の内部の視点、中途薬剤師の採用や人事異動をおこなった経験から30代薬剤師の転職について解説しています。
30代薬剤師の転職は目的を明確に!
30代になると薬剤師の仕事内容にマンネリ感を覚え、なんとなく今の環境を変えたいなと漠然と思うことがあります。
しかし、30代はキャリアを形成する上で最も重要な時期であり、この時期の職務への取り組み方は、40代以降のキャリアや将来の転職活動に大きな影響を与えます。
そのため、30代で転職を考えるは特に転職の目的を明確にしておくことが大切です。
目的が給与アップなのか、勤務条件の改善なのか、それとも現在の環境からの脱却なのか、この辺りの自己分析は最低限しておきましょう。
今後薬剤師は飽和してくるという新聞やニュースを見ますが、都心の一部を除きまだまだ売り手市場です。
そのため現時点でも調剤薬局、ドラッグストアへの転職は比較的簡単です。その結果、漠然と転職を繰り返す方が多いのも事実です。
30代というキャリアを形成する大切な時間を充実して過ごすためにも、転職をきっかけに明確なキャリアプランを描きましょう。
給与アップを目指す転職
給与アップを目指すということは、言い換えるとキャリアアップを目指すということです。
キャリアアップなしに給与を上げる方法は限られており、職種の変更、田舎での勤務、夜間勤務への切り替えが主な選択肢です。
また、目的が給与アップの場合は、採用されて達成ではなく、その後会社の中で管理職のポジションにつき徐々に給与を上げていく必要があります。
そういう意味では目的までの難易度が高いことを行なっているのです。その自覚を持って転職の準備を進めることが大切です。
採用においては、30代までは現場経験、コミュニケーション力、柔軟な思考といった成長性が重視されます。
一方、40代では、前職での実績、リーダーシップ、問題解決能力など即戦力としてのスキルが求められます。
薬剤師の場合も、勤務地や労働条件を変えずに給与アップを希望すると、管理職のキャリアを目指すことになるんだよ。
勤務条件の改善を求める転職
ワークライフバランスや勤務環境の改善を目的とした薬剤師の転職では、柔軟な労働条件や福利厚生を重視する企業を選ぶことが大切です。
労働条件が良い職場は給与が低い傾向
例えば、19時までの勤務制限、日祝日の休日、充実した休暇制度、快適な職場環境など、働きやすさを最優先に考慮した転職先選びが求められます。
求人では良い事を言っているけど実は…違った。みたいなことも起こりうるので、必ず自分の目で勤務先の職場の雰囲気、採用担当者の内面的な雰囲気を見極めるようにしましょう。
基本的に、労働条件が良い転職先は何もしなくても人が集まるため、転職後の給与は同じか、下がる場合がほとんどです。
労働条件が目的の場合は多少は給与が下がる可能性を踏まえ、妥協点を持って転職に臨みましょう。
転職エージェントの活用で効率的に企業を探す
転職エージェントを活用する事で、効率的に希望の条件を満たす会社を見つけることができます。
また、転職エージェントは様々な会社からの求人オファーを受け付けており、事前に企業の内情を確認しているところもあります。
気になる点を納得するまで質問する事で、好条件の転職先が見つかります。
企業内部から見た30代薬剤師の強み
この項目では調剤薬局やドラッグストアなどの採用企業が評価する30代薬剤師だからこその強みを紹介します。
採用企業にとっては他社で一定以上の経験を積んでいる30代薬剤師は本当に貴重な存在です。
昔と違い新卒だけが求められる時代は終わりました。
調剤業務の即戦力、管理職候補、本部社員候補として、他社での経験がある人材を求める企業が増えてきています。
事実、筆者の周りもマネジャーや本部社員の多くは転職組です。
強み① 調剤の現場経験と知識
30代薬剤師は一通りの役割を経験している
30代で転職する場合、ほとんどの方が調剤の現場経験を5年以上積んでいます。
順調にキャリアを重ねた方だと3年目に管理薬剤師や薬局長になる方もいます。遅くても4年、5年目には一通りの経験をしている方が多いため、企業としては30代に調剤業務の即戦力としての安定感を求めます。
- 新卒1年目:最低限の調剤業務を学ぶ
- 新卒2年目:薬剤師として戦力になり経験知識を習得
- 新卒3年目:管理薬剤師になる
新卒〜3年目までの転職の場合は企業に新卒と同じような印象で評価されます。
しかし、30代薬剤師の場合は、経験者としてどのようなスキルや能力があるのか期待しながら評価する傾向があります。
調剤業務の安定感でその後のキャリアを有利に
一般的に、上司が現場の薬剤師をマネジャーや本部社員などの新たな部署に登用する際に見ているのはその人の日常業務、管理能力、チームワークです。
安定して調剤業務を回せる30代の薬剤師は、転職後も早い段階から上司の評価を得ることができます。
筆者の経験上、30代前後の薬剤師には期待感を込めて様々な役割を担う場と機会を提供しました。
強み② 思考の柔軟性
人は経験年数が増えれば増えるほど成長して、パフォーマンスを発揮するかというと、一概にそうとも言えません。
調剤の経験年数が増えるほど思考が固まる
人間は歳を重ねると経験と知識がつく代わりに、頑固になります。この傾向は仕事においても変わりません。
調剤を始めたばかりの頃は全てが新鮮で何でも吸収しようと考えます。
数年経つと知識や経験がついてきて、効率性を重視したり、患者さんとのコミュニケーションを重視したり、専門的な領域に興味を持ったりと、人それぞれの方向に進んでいきます。
さらに長年働いていると自分が選択した方向が正しいという確信を持つようになり、自分の考えを以外をあまり認められなくなります。これが思考の柔軟性がなくなる過程です。
30代は経験と思考の柔軟性のバランスが最適な時期
30代はちょうどキャリアの中間に位置します。
新たな仕事で成長しつつも、少しずつ自信を持ち始める時期ですので、適度な思考の柔軟性がありつつも、しっかりと仕事をこなせるという非常にバランスの取れた時期です。
強み③ 将来的な成長性
30代はキャリアアップの方向性を決めて進み始める初期段階なので、その後数年の経験で大きく変化します
中には別人かと思うほど問題解決能力やリーダーシップが化ける方もいます。
30代の成長性を知っている上司の場合は、現時点でその30代薬剤師に特別な能力がなくても、場と機会により大きく成長するかもしれないと考えます。
このように上司が期待感を持つ年代というのも30代の強みです。
30代薬剤師が転職成功のために押さえるべきポイント
転職の成功とはどういう状態かを考えます。
転職活動をしていると、どうしても採用される事が目的になってしまいます。
本来の目的が給与アップ(キャリアアップ)したいのであれば、希望の企業に採用され、そこで自分の能力を評価され、昇進により給与を上げて生活を豊かにすることがゴールになります。
この項目では、採用面接だけではなく、採用後のゴールまでスムーズに進んでいく際、気をつける点を解説しています。
ポイント① 謙虚、誠実、素直
えっ・・・誠実?素直?なにそれ道徳の授業か何か?
いや、違うよ。この謙虚、誠実、素直というのは採用において本当に大事なんだ。
なんか、あえてそこをポイントにする意味があるの?って思っちゃうけど。
うーん。わかりやすく言い換えると邪悪な人や成長余地のない人を採用しないためなんだけどね。
旧Twitterの青い鳥のマスコットが話しているように、何それ?そんな道徳のような話をいきなりされても、と思いますよね。
でも実はこの謙虚、誠実、素直と言うのは採用担当にとって外すことができないポイントです。
キャリアアップを目指す30代を採用する際、採用担当者が何を重視しているかと言うと、あなたの現在の能力とあなたの成長可能性この2つを見ています。
このうち、特に30代において重視されるのは成長可能性です。
謙虚、誠実、素直と言うのは、将来的なあなたの成長可能性を見ることにつながっています。
謙虚で誠実でなければ、チームワークを発揮し組織で成果を残すことが難しくなります。
素直でなければ経験を吸収し、自分の力に変えていくという機会を失います。
それでは、採用担当はどのように判断しているのか?というと、正直なところ主観と経験に基づく感覚というのが実態です。
- 面接前後の連絡とやり取り
- 面接予定時刻に対する到着時間
- 清潔感
- 表情
- 声のトーン
- 話し方
謙虚、誠実、素直の判断は履歴書の文章や面接の言葉ではなく、言葉の端端や仕草から滲み出る内面をじっくりと観察し判断しています。
人前で堂々と演説できる、交渉がとても上手いなと、飛び抜けたスキルがなくても気にする必要はありません。
30代の場合は、これからの経験でなんとでも変化する可能性があると期待されて採用しています。
30代は採用企業からこれからの成長に期待される最後の時期かもしれないね。
ポイント② キャリアプランは明確に伝える
調剤薬局やドラッグストアへの転職の場合は、よほどのことがない限りは採用されることが多いです。
そのため、安易に転職を考えてしまいがちですが、たび重なる転職はキャリア形成において不利になりますので注意が必要です。
将来的なキャリアをイメージした上で、面接の際に採用担当者にキャリアプランを必ず伝えましょう。
採用面接時に伝えたキャリアプランは採用担当者からマネジャーに事前情報として伝わります。
基本的にマネジャーはその伝えられた内容をもとに配置を決めますし、キャリアを考慮した場と機会を提供してくれるかもしれません。
ポイント③ 転職先の企業を見極める
キャリアプランにおいてもっとも重要な30代を有意義に過ごすためにも、転職先企業は慎重に見極める必要がります。
採用担当者が面接で転職者を見極めるように、あなたも、採用担当者の言葉の端端や振る舞いなどから、その企業が転職しても問題なさそうか?を見極める必要があります。
大手ドラッグストアについては、全体的な傾向として、この数年で大きく勤務条件が改善した印象があります。
具体的には、ドラッグストアでも調剤薬局のような働き方ができる勤務区分が新設されたり、勤務地限定社員の制度がより細分化されて多様な働き方ができるようになってきています。
調剤以外の仕事したい方は下記の記事をお読みください。
まだ間に合う!調剤以外での薬剤師転職の成功戦略
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何年も調剤業務を続けていると日々繰り返される仕事に飽きたり、年収が変わらないことに不安を抱いたり、このまま定年まで調剤を続けるだけでいいのかなと疑問を抱く瞬間が出てきますよね。 とはいえ、いざ新たなキ ...
薬剤師転職エージェントを活用して効率的な活動を
転職市場で自身の市場価値を保つためにも、無職の期間を作らずに転職を行うことをおすすめします。
仕事をしながらの転職活動は時間的にも精神的にもとても大変です。
現在は薬剤師転職エージェントのサービスか量、質ともに充実しています。
筆者と妻も何度か転職エージェントを利用した経験がありますが、本当に便利です。
登録後、自身の転職目的や勤務条件を伝えると担当者があなたに合った転職候補を探して連絡をくれます。
そこで応募するかしないかを判断するだけでOKです。
そういえば、私も転職の時はエージェントに登録したよ。いろんな候補をどんどん出してくれるから、家事と仕事をしながらでも簡単に転職できたよ。
そうだよね。今時エージェントを使わずに求人を探している人はほとんど見かけないぐらい便利。
現在の職場に満足していない場合は今の職場で働きながら、いつでも動ける状態を作っていくことが大切です
キャリアにとって重要な30代の時間を有効に使うためにも、淡々と転職先のリサーチをしておきましょう。
以下に求人数の掲載が多く、利用者の実績や評価が高い目の、安心感のある転職エージェントを記載しています。
① 薬キャリAGENT
項目 | 内容 |
---|---|
求人数 | 約36,308件 |
対応地域 | 全国対応 |
特徴 | 求人票から見えない情報なども調査し把握している |
アドバイザー | ・専門性を高めたコンサルタント、地域別・雇用形態別チーム編成 ・アドバイザーの質高い |
サービス | ・転職ノウハウ、面接対策ガイドブックなどを提供 ・個別カウンセリング、専門的なコンサルタントによるサポート ・非公開求人あり |
その他 | エムスリーキャリアが運営しており、サポート力に強み |
転職大手のエムスリーキャリアが運営する薬剤師転職エージェントです。
質の高いサポートに加え、非公開求人も多数保有しているため利用者からの評価も高いのが特徴です。
② ファルマスタッフ
項目 | 内容 |
---|---|
求人数 | 約50,150件 |
対応地域 | 全国対応 |
特徴 | 調剤薬局、病院、ドラッグストアなど幅広い業種に対応 |
アドバイザー | 地元情報に精通した専任アドバイザーが在籍 |
サービス | ・個別カウンセリングサポート ・転職ノウハウや面接対策ガイドブック提供 |
その他 | スキルアップ志向、待遇・福利厚生重視など様々な視点から求人検索可能 |
調剤薬局の求人実よく、高収入な求人を数多く保有しています。
全国に拠点を持っているため、面談、Web面談、電話でのサポートを受けることもできます。
③ マイナビ薬剤師
項目 | 内容 |
---|---|
求人数 | 約45,367件 |
対応地域 | 全国対応 |
特徴 | 調剤薬局、病院、ドラッグストアなどの求人が豊富。 |
アドバイザー | 薬剤師専門のキャリアアドバイザーが在籍 |
サービス | ・キャリアアドバイザーによる個別サポート ・面談、電話/メール/Webツールを利用したオンラインサポート |
その他 | 土日休みや高給与など、さまざまな条件の求人を取り揃えている |
④ リクナビ薬剤師
項目 | 内容 |
---|---|
求人数 | 約35,000件 |
対応地域 | 全国対応 |
特徴 | 非公開求人が豊富、ドラッグストアと調剤薬局に強み |
アドバイザー | 薬剤師転職専門のアドバイザーが配属 |
サービス | ・転職成功マニュアル提供 ・スマホアプリでの応募、相談可 |
その他 | 大手企業としてのサポート力と安心感あり。 |
大手のリクルート社が運営する薬剤師転職エージェントです。
相談からの応対も早く、最短で転職を完了させることもできます。
⑤ ジョブデポ薬剤師
項目 | 内容 |
---|---|
求人数 | 約80,000件以上 |
対応地域 | 全国対応 |
特徴 | 自身で検索して選ぶサイト型、担当者サポートを望まない人向け |
アドバイザー | 転職コンサルタント在籍 |
サービス | 地方求人の案内に強い |
その他 | 対面面談を望む場合は他エージェントの利用を |
大手ほどの手厚いサポートはありませんが、求人数も多く、自身で色々な薬局を吟味したい場合におすすめです。
まとめ
この記事を最後までお読みいただきありがとうございます。
30代は仕事とプライベートにおいて非常に大切な時期です。この時期をどのように過ごすかで先の人生が変わると言っても過言ではありません。
そして、企業にとっても30代は最も価値が高い年代です。
30代であることの価値を存分に高めて、転職を行うことで、より良い生活を手に入れましょう。
この記事のポイント
【30代薬剤師の転職は目的を明確に】
- 30代はキャリアを形成する最も大切な時期
- この時期を有意義に過ごせるよう、将来的な目標を決めて動く
【企業内部から見た30代の強み】
- 他社での調剤現場の経験と知識は薬剤師キャリア形成に有利
- 柔軟な思考を持つ30代は企業として貴重な存在
- 採用企業は30代の成長可能性に期待している
【30代薬剤師の転職成功のためのポイント】
- 素直さ、誠実さ、謙虚さを前面に
- キャリアプランは明確に伝える
- 転職先企業の実態を見極める