何年も調剤業務を続けていると日々繰り返される仕事に飽きたり、年収が変わらないことに不安を抱いたり、このまま定年まで調剤を続けるだけでいいのかなと疑問を抱く瞬間が出てきますよね。
とはいえ、いざ新たなキャリアのために調剤のない職種にチャレンジしてみようと思っても、「どんな職種があるのか?」「今より年収は良くなるのか?「仕事内容は?」「福利厚生は?」「そもそも求人してるの?」…など、具体的なことがよくわからず、なかなか行動にうつせない、、、なんて経験をしたことはないでしょうか。
このような悩みにを少しでも解決できるよう記事にまとめてみました。
ほんと調剤ばかりやっていると漠然と不案になる事があるのよね。
そうそう。アラサーでもまだまだいろんな選択肢があることをもっと知ってもらいたいね。
この記事でわかること
当記事ではドラッグストア本部社員として企業戦略や採用、昇格制度の裏側を見てきた筆者が、業界の構造や人事採用に見え隠れする企業の意図を踏まえながら調剤以外のキャリア形成について詳しく解説していきます。
- 調剤以外の薬剤師の仕事を知ることができる
- 調剤以外の仕事に就くための具体的な方法を知ることができる
調剤業務を続けることへの不安と対策
薬剤師になって数年経過し、業務にも慣れてきた頃にこのまま調剤だけを続けていて良いのだろうか?と不安を感じること、ありませんか?
筆者自身は何度も経験してきました。
あれだけ勉強を頑張って薬学部に入り、国家試験に合格して勝ち取ったはずなのに、アラサーぐらいになると無性にこのままではいけない。新たなキャリアがないかともがき始める人が多いのが実態です。
なんで調剤だけを続けるのが不安になるか、頭の中を整理してみよう!
薬剤師としてのキャリア形成における課題
薬剤師の調剤業務は法律で行うべき業務の大枠が決まっています。スキルの違いこそあれ、新卒もベテランも同じ調剤業務を行います。
そのためキャリア形成を行う上で、このまま調剤を続けるのか?それとも調剤業務をやめて新たな選択肢を模索するのか?このような悩みに直面する人が
具体的な課題は以下の通りです。
- 年収が低い(上がりにくい)
- 業務が単調で繰り返し
- 調剤以外の経験とスキルが蓄積しない
キャリア形成の課題1:年収が低い(上がりにくい)
調剤業務を主とするアラサー薬剤師の平均年収は550万円〜650万円前後です。
調剤薬局か?ドラッグストアか?、個人薬局か?チェーンか?、地方か?都市部か?によっても100万円程度は変わってきます。
調剤薬局やドラッグストアの薬剤師は新卒から500万円前後の給与があるため、年収が高いと思われがちですが、そこから年数がたってもあまり給与の上昇は見込めません。現場で働き続ける限りは700万円未満で頭打ちなんてことも良くあります。
なぜこのように年収が上がりにくいかというと理由は大きく3つあります。
- 国による医療費削減
- 業務、責任範囲が変わらない
- 専門性が収益に直結しない
年収上がらない原因① 国による医療費削減
1つめは、薬局やドラッグストアの調剤部門の収入源である調剤報酬、薬価が年々下げられていることが理由です。地域体制支援加算などかなり厳しい条件や勤務体制が必要な割に報酬が低いことが原因です。給与の原資である調剤報酬が年々減っていると、上げたくても給与は上がりません。
年収上がらない原因③ 業務、責任範囲が変わらない
2つめは、調剤業務は新卒1年目でもベテランでも基本的に同じ仕事を行うということです。薬剤師としての責任も同じです。通常、役割や責任が同じ人の給与は同じです。
ではどうするか?
調剤現場においては管理薬剤師や店長など新卒1年目では負えない責任と業務範囲をこなすことで給与を上げる必要があります。常に一般の薬剤師のままだと出せる成果にも限界があるため給与は頭打ちになります。
年収上がらない原因② 専門性が収益に直結しない
3つ目は、専門性を高めても収益に直結しないということが、調剤業務を続けても給与が頭打ちになる理由です。
具体的には、がん専門薬剤師、スポーツファーマシスト、在宅専門薬剤師などさまざまな専門分野があり、一部は調剤報酬の加算などで収益につながるものもありますが、件数が少なかったり、報酬額自体が少ないのが実態です。
そのため、専門性を高めたからといって薬局の収益が目に見えて上がるわけではないので給与にも反映されません。
薄々わかってたけど、言葉にすると厳しいわね。
だから調剤以外の転職を考える人がいっぱいいるんだ。
キャリア形成の課題2:業務が単調で繰り返し
先ほども述べましたが、新卒でもベテランでも法律上でも患者さんから見ても薬剤師は薬剤師です。
経験が増えれば仕事のクオリティは上がりますが、薬剤師として同じ責任のもと、同じ業務を行うことには違いありません。
人間は単調に弱い生き物です。毎日繰り返していると、どうしても変化が欲しくなり、営業をしている友達や事務職をしている知り合いなどが羨ましくなります。
キャリア形成の課題3:調剤以外の経験とスキルが蓄積しない
調剤に関する業務を繰り返す日々が続くため、仕事だけしていると調剤以外のスキルがあまり身につきません。また、調剤室という狭い空間で常に働くため、視野も狭くなりがちです。
専門領域や在宅領域、そのほかの薬剤師としての活動に興味や関心があり充実感を感じている方なら問題ないですが、組織の上を目指したり、自らのスキルを高めてより責任のある仕事を行いたい方には不安な要素の一つと考えられます。
国家資格の専門職ならではの課題がたくさんあるのね
その代わりと言ってはなんだけど、薬剤師の資格を持ってたら仕事を失うリスクはほぼないけどね。
調剤以外の仕事でキャリアを形成する必要性
もちろん、薬剤師として働く事が好きで、薬学的な知識を習得し、専門性を高めることがやりがいの方は調剤以外を考える必要はありません。
ただ、調剤だけを続けていて不安を感じる方や給与を高めたい方、調剤以外の仕事にも関心がある方は自身のキャリア形成のために一歩踏み出すことがプラスになると思います。
調剤以外の仕事にはどんな職種がある?
薬剤師として活躍できる調剤以外の職種はたくさんあります。ここではいくつかのメジャーな職種をご紹介します。
- 製薬会社の研究開発
- 製薬会社のMR
- 医薬品卸の管理薬剤師
- 調剤・ドラッグストアチェーンの本部勤務
製薬企業の研究開発
製薬企業における研究開発部門では、薬剤師は新薬の開発や既存薬の改良に重要な役割を担います。この分野では、薬学の専門知識を活用して、新たな治療薬の研究、臨床試験の設計、薬物の安全性と有効性の評価などを行います。研究開発に従事する薬剤師は、医薬品開発の最前線に立ち、患者の治療に貢献する新しい薬の誕生に直接関与することができます。
給与面では役職の上昇とともに年収もしっかりと上がっていきます。また、退職金も調剤やドラッグストアと比べると多いです。
一般の薬剤師以上に専門的な知識と技術が必要なため、最低でも修士や博士などを出ていなければ転職は難しい職種です。
見るからに転職が難しそうな職種ね
うん。難易度はめちゃくちゃ高いよ。院卒や他社での研究開発経験が必須の求人がほとんどだからね。
製薬企業のMR
MR(医薬情報担当者)は、製薬企業が医療機関に対して提供する重要な橋渡し役です。医師や看護師などの医療従事者に対して、製薬会社の医薬品に関する最新の情報を提供し、その使用を促進しなければなりません。また、医療従事者からのフィードバックや市場の動向を収集し、製薬企業の研究開発や販売戦略に貢献する役割も担っています。
MRの仕事は単なる情報提供にとどまらず、製品の販売促進やブランドイメージの構築にも関わります。そのため、MRは医薬品に関する専門的な知識だけでなく、優れたコミュニケーション能力と営業技術も必要とされます。製薬会社と医療現場の両方のニーズを理解し、その間で効果的なコミュニケーションを図ることが求められるため、非常に高い専門性と社会的技能が要求される職種です。
年収
MRって話が上手い人がなりそうなイメージよね
そうだね。実際に転職活動では薬剤師以外の営業力が化け物な人と勝負しないといけないからね。
医薬品卸の管理薬剤師
医薬品卸売業として施設を運営するために医薬品の品質管理や情報提供、在庫管理などの役割を果たします。管理薬剤師として薬務監査に対応したり、メーカー自主回収の対応なども仕事の一つです。
一般の薬局で働くよりは残業も少なくワークライフバランスは確保しやすいですが、500万円弱の年収とやや他の職種と比べると低い場合もあります。
プライベート充実派には良さそうね
そうだね。卸の管理薬剤師+副業なんかも相性が良さそう!
調剤薬局・ドラッグストアチェーンの本部勤務
経営企画、人事、総務、経理など一般的な企業にある幅広い部署で働くことができます。ある程度規模が大きいチェーンの場合、薬剤師のキャリアプランとして本部のさまざまな部署が用意されている点がポイントです。企業によっては公募などもあります。
年収はその人のポジションにもよりますが、ドラッグストアの本部社員の場合は一般で700万、管理職で800万以上、上級管理職以上で1000万以上もらえます。(会社によりますが。。。)
意外と年収が高くなるのね。
中間管理職でも800〜900万はかなり沢山にいるよ。
調剤以外の職種を比較する
転職またはキャリアアップの難易度と30代の給与を簡単に比較しました。
職種 | 難易度 | 30代平均年収 |
---|---|---|
製薬会社(研究開発ほか) | ★★★★★ | 500〜600万円 |
製薬会社(MR) | ★★★★ | 500〜700万円 |
医薬品卸の管理薬剤師 | ★★★★ | 400〜500万円 |
調剤薬局チェーン(本部) | ★★★ | 500〜750万円 |
ドラッグストア(本部) | ★★★ | 600〜800万円 |
比較用)調剤業務の転職 | ★ | 500〜650万円 |
研究職は30代の年収はあまり高くありませんが、年齢が上がるにつれ800万円程度には到達します。また管理職など昇格すると1000万円、さらにそれ以上の年収も十分見込めます。ボーナス、退職金、福利厚生の面でも非常に魅力的ですが、難易度が最高に高いです。
MRは会社によって年収のばらつきが大きいですが、高いところだと30代で700万円以上を目指せます。また営業系の管理職になると1200〜1500万円になる方もいます。注意点としては業績が悪くなると真っ先にリストラなどのコストカットの対象になります。以前ほど求人が多くないため、難易度は年々上昇傾向です。
医薬品卸の管理薬剤師は医薬品卸売業の許可取得のため倉庫に一人必要となります。そのため、求人も少なくタイミングによる部分が大きいため就職難易度は高めです。
調剤・ドラッグストアの本部職の年収は700万、800万と現場で勤務するよりも高額です。特にドラッグストアは出店、M&Aなどで成長中の業界のため、本部職の人員がどんどん必要になり、以前よりも比較的簡単に配属されます。管理職になると900〜1000万になる方もいます。
ポイント
就職難易度と年収、安定性と将来性を総合すると最もバランスが良いのが調剤・ドラッグストアの本部職という事がわかります。
調剤やドラッグストアの本部職って意外な感じね。
希望したらなりやすいというのが一番のポイントかな。
そうね。希望しても求人がないとどうにもならないものね。
そうだね。あとドラッグストアの場合は年収900万ぐらいなら狙える人も多いんじゃないかな。
調剤以外でおすすめなのは「調剤・ドラッグストアの本部勤務」
先ほど色々な職種と比較した通り、難易度と年収面で最もバランスが良い職種が調剤・ドラッグストアの本部職です。
ひっしゃが本部社員だからポジショントークしてるだけじゃないの?
ひどい言いようだなー。そんなことは… …少しだけしかないよ 笑
ドラッグストア・調剤薬局本部がおすすめな理由
ドラッグストアや調剤薬局の本部社員がおすすめな理由は以下の通りです。
- 本部社員への間口が広い
- 様々な業務内容がある(特にドラッグストア)
- 調剤業務で培った経験と知識が活かせる
- 薬剤師手当がもらえる
ドラッグストアや調剤薬局の本部職は薬剤師のキャリアプランの延長線上にあるため、多くの企業で本部社員となって調剤を行わない立場でも薬剤師手当がそのままつきます。(ここはポイント高いです)
逆にMRをおすすめしない理由は製薬業界を取り巻く外部環境の変化が一番の要因です。
- オンライン化による対面営業の意義低下
- 医療費削減を目的とした毎年の薬価改定やジェネリック推進
- 原材料費の高騰
特に医療費削減の影響は非常に大きく、毎年の薬価改定や市場拡大再算定など薬価を引き下げる動きが強いため従来のように大きな利益を継続的に上げることが難しい市場環境になっています。その際に真っ先にコスト削減対象となるのがMRなどの営業職です。
よく◯◯製薬の早期退職やリストラの記事を見かけると思います。このような理由から製薬企業はできる限り身軽な経営体制を作り、高度な分野における研究開発費に充てる動きが進んでいます。
そのような業界に身を置きそのあとどのようなキャリア形成をしたいか?ここが明確でない限りは危険な橋のような気がします(筆者の感想ですが)
ドラッグストア・調剤薬局本部の仕事内容
薬剤師が関わる部署だと、以下のような薬局の現場を支える部署があります。
- 経営企画部門
- 運営管理部署
- 商品管理部署
- 人事部門
- DI室
- システム部門
①経営企画部門
経営企画部門は一般的に以下のような仕事内容です。
- 経営計画の立案と進捗管理
- 組織再編、業務提携、M&A
- 経営陣をサポート
- データや情報の収集・分析
なんか難しそうでどんな仕事をするかイメージが全然湧かない!いきなり経営計画を作るみたいな仕事ができるの?
いや、現場から直接この部署に行くことはないよ。本部で働く優秀な人が引っ張られていく感じかな。
会社の方針を決める非常に重要な役割の部署なので、誰でも希望したらなれる部署ではありません。
ただし、調剤薬局やドラッグストアの場合は、調剤業界という特殊な制度ビジネスへの深い理解と見識が経営判断に必要になるので、薬剤師が数名配属されるのが一般的です。
②運営管理部署
薬局の運営に直接的に関わる部門です。
店舗の業務手順マニュアルなどはここの部署で作成されます。この部署で決まったルールや手順に基づいて現場の運営が行われます。
調剤の現場経験が活かせるという意味では、運営管理部署は異動しやすい部署となっています。
行う業務は多岐に渡りますが、以下のような内容が主な業務になります。
- 業務管理:薬局マニュアル、備品、レセコン、全社在庫、請求などの管理、マネジャーの業務管理
- 人事管理:薬剤師、事務の採用、配置、教育の管理
- 出店、閉店管理:設備準備、機器導入、申請管理
- 法令遵守:調剤過誤対策、薬事法や個人情報保護法、内部不正対策
運営管理部門はこの部署単独ではできない事が多く、システムや人事、総務、経理、開発、商品部などのその他の部門と密に連携する必要があります。
本部の中心みたいな部署だね。
まさにその通り。ここで他部署の信頼を勝ち取ると希望する部署に異動しやすくなるよ。
この部署で決めた内容が現場の運用に則していないと、薬局で働く薬剤師からの不満が増えて運営が成り立たなくなります。
逆にここで決めた運用がしっかりとハマると現場の業務もスムーズに行えます。
そういう意味では現場を支える部門の中で一番重要な部署かもしれません。
③商品管理部門
調剤チェーンの商品管理部門の仕事は調剤で使用する処方箋医薬品の管理全般を行います。
製薬会社や医薬品卸の本部担当部署の方々と定期的に面会(商談)を行うことで、互いにメリットの出る取引条件を引き出します。
大まかな仕事内容は以下の通りです。
- 医薬品卸や製薬会社との条件交渉
- 医薬品の仕入支払管理
- 発注システムにおける医薬品マスターの管理
- 医薬品の全社在庫管理
- 行政への各種報告:妥結率、価格調査対応、薬価改定への対応など
取引先との価格交渉などもありますので、コミュニケーション力や交渉スキルなどが必要となります。
また、チェーン薬局で取り扱う数万品目に渡る医薬品の価格、在庫、購入額などの管理をミスなく行う必要がありますので、パソコンやエクセルのスキルも一定以上の水準で求められます。
また、最近は薬の供給不足の問題が波及しており、在庫確保のための交渉なども行う必要があります。
全社の仕入だとものすごい金額になりそう。。。
年商1000億円のチェーンだと毎月数十億円の仕入金額を管理しているよ。
④人事部門
人事関連部門は採用から退職に至るまでのヒトに関わる業務全般を担います。
仕事内容は以下の通りです。
- 人材採用、人員配置
- 教育、研修
- 評価制度の設計と運用
- 労務管理
- 給与、賞与管理
調剤事業の運営管理部門と密にコミュニケーションをとりながら、採用をしたり、研修内容の変更などを行います。
一般に薬剤師の採用には薬剤師が配属される事が多いです。薬学生に向けた採用活動の際に、より具体的にキャリアイメージを伝える事ができるためです。
リクルーターってよく聞くけどこの人たちは人事じゃないの?
リクルーターは人事ではないよ。現場で調剤を行いながら薬学生の就職のフォローをする役割なんだ。
リクルーター経由で人事部の採用担当に選ばれてそのまま本部社員になるケースもよくあります。
⑤DI室
医薬品に関するプロフェッショナルです。
現場で専門性を高めた方や教育系の部署から異動になるケースが多い部署です。
仕事内容は以下の通りです。
- 新薬情報の収集管理
- 問い合わせ対応
- 情報提供
- 学会発表
新薬や副作用情報などの最新情報を収集管理し、現場からの電話問い合わせなどに対応する仕事です。
また、医療機関との関係性を維持し、情報提供を行うこともあります。
薬剤師の学会で講演を行ったり、社内から学会発表する方のサポートを行ったりします。
調剤の専門知識を思う存分活かしたいという方におすすめの部署です。
薬学の知識をもっともっと高めたいという方に向いている部署ね。
そうなんだ。学会発表の時にDI室と関わりを持って直接異動になる人もいるよ。
⑥調剤システム部門
調剤になくてはならないレセコンの管理をしている部署です。
仕事内容は以下の通りです。
- システムの管理と運用
- システムトラブル対応
- データ管理
- 情報セキュリティ対策
- 新システム導入
調剤薬局で使用する各種システム(調剤支援システム、レセコンなど)の管理と運用を行います。また、業務効率化やヒューマンエラー防止のため、新しいシステムを導入することもあります。
システムにトラブルが発生した場合、迅速に対応し、業務が滞らないようにします。そのため重大なトラブルの場合は休日や夜間に召集されることもごく稀にですがあります。
なんかシステムってパソコンに強い繊細な人がいるイメージね。
いや、緊急時に統率の取れた対応が必要なので、意外と体育
システム部に配属になるには最低限のパソコンスキルは必要となります。また、論理的な思考力は非常に重要です。
その他部署
その他にも広報室、営業企画部門、新規出店部門、カスタマーサポート部門、総務部、経理部、内部監査部門など様々な部署があり、それぞれの部署で薬剤師が働いています。
成長過程の企業の場合は空きポストが比較的多く発生するため、全く経験のない部門であっても配属になる事があります。
ドラッグストア・調剤薬局本部のメリット/デメリット
ドラッグストアや調剤薬局本部のメリット
チェーン薬局の本部社員は他の職種に比べて薬剤師にとってのメリットが大きいのが特徴です。
メリットは以下の通りです。
- 仕事に就くための難易度が低め
- 現場の経験が活かせる
- 年収も比較的高め(企業による)
- 土日休み・転勤の可能性低い(部署による)
- 調剤をしないのに薬剤師手当を貰える
調剤しないのに薬剤師手当が貰えるなんてズルい!!
仕方ないよ。薬剤師手当がなくなったら、誰も本部に行きたくなくなるからね。
①仕事に就くための難易度が低め
仕事に就くための難易度が下がる条件として以下のようなものがあります。
- 募集人数が多い
- 条件が緩い
大手チェーンになると本部で勤務している社員は数百人に上ります。
成長している企業の場合は出店の規模に耐えれるように増員が行われるケースも多く毎年数十人から100人単位の本部異動が発生しています。
そんなに本部に異動してパンクしないの?
産休や退職、店舗へ戻りたいなど様々な方もいるから意外とパンクしないんだ。
条件が緩いというのは「本部に行きたい」「マネジャーになりたい」など手を挙げていると意外に機会がまわってきやすいということです。
もちろん、それ相応に現場をうまく回せたり、上司とコミュニケーションが取れている方が優先されますが、明るくて話し上手で。。。みたいな条件は特にありません。
大人しくて、真面目で口数が少なくても周りに誠実に接している方であれば可能性は十分あります。
②現場の経験を活かせる
本部の中でも運営管理部門は現場の業務をサポートする部署です。
ある程度現場のことをわかる人間じゃなければ成り立ちません。
調剤の現場での経識やスキルを活かしながら活躍する事ができます。
③年収も比較的高め
仕事の影響範囲が増えるとそれだけ責任が重くなります。結果的に評価や給与は調剤の現場で働き続けるよりは高くなっていきます。
企業にもよりますが、年収700万円以上あるところが多いかと思います。
筆者は少しパソコンが得意な、口下手なおっさんですが、長年本部にいるからか9XX万〜ほどもらっています。
数千万などの夢のある金額まではいきませんが、今より少しでも給与を上げたいと思う場合は選択肢の一つとして考えてもいいかもしれません。
④土日休みで全国転勤の可能性が低い
部署によりますが、大体の部署で土日休みが多いかと思います。
店舗の運営管理部署の場合は、調剤を行なっている平日に人員をいる平日に人員を厚くする必要があるため必然的に土日休みが多くなります。医薬品の仕入れやシステムについては取引先の営業日に合わせるので、必然的にこちらも土日休みになります。
また、本部は薬剤師がいなければ営業できないなどの法的な縛りがないので、比較的自由に休みの日を調整する事ができます。
転勤に関しては、こちらは人によります。本部の仕事との相性が良い場合は勤務地が本部なので転勤はほとんど発生しません。
ただし、うまく本部の仕事に馴染めず、薬局に戻る場合やエリアの責任者に異動となった場合は転勤せざるをえません。
そういえば本部へ行ってから全然引っ越してないね。
そうそう。もう10年近く本部で働いているけど、引っ越しがなかったね。
⑤薬剤師手当がもらえる
こちらの企業によるかと思いますが、本部に行っても薬剤師手当がそのまま残る企業が多いです。
数万〜10万ほどの金額ですので、薬剤師にとって非常に大きいメリットです。
他の職種の場合は薬剤師手当がなくなるので、手当分も自分の力で給与を上げていく必要があります。
なんか薬剤師ってチェーン薬局で優遇されているね
うん。薬剤師がいないと成り立たないビジネスだからね。割と大事にされていると思うよ。
ドラッグストア・調剤薬局本部のデメリット
本部配属のデメリットはほとんどないのですが、人によっては以下のようなことが起こります。
- 能力・適性がないと薬局に戻ることもある
- 興味のない部署に異動することもある
え!?せっかく本部に異動しても戻る事があるの?
人によるかな。本部で成果を出し続ける事ができれば戻ることはないと思うよ。
①能力・適性がないと現場に戻ることもある
本部の仕事は影響範囲が大きい点、扱う金額が大きい点などから現場以上にミスが許されません。
また、作成が必要な資料(会議資料、提案資料、分析資料など)多岐にわたります。
そのためミスが多かったり、資料作成が期日までに終わらないなどを繰り返していると稀に現場に戻されることもあります。
以下のような人は本部に長くいられないと思います。
- ミスが多い
- 資料作成や日々の仕事が遅い
- 報告や資料の内容が論理的でない
- 部下や他部署へ誠実でない
誰にでも誠実で、仕事を効率的に行えるように工夫しながら進めている人なら戻ることはほぼありません。
②興味のない部署に異動することもある
以下のような理由で別部署に異動になることはあります。
- 欠員など会社の意向で別部署に異動になる
- 上司が異動の時に一緒に連れて行かれる
- ジョブローテーションで別部署へ行く
例え興味がない部署であってもそこでの経験は自分のスキルアップにつながります。
ドラッグストア・調剤薬局の本部社員になるためには?
本部社員になるときのルートは以下の通りです。
- 現場社員→薬局責任者→エリアマネジャー→本部(90%)
- 社内公募により本部社員(7%)
- 現場社員→本部社員(3%)
ほとんどがエリアマネジャー経由です。他には社内公募もあります。
早ければ新卒で入社後5年程度、中途入社で3年〜4年程度で本部社員になれます。
本部社員になるために求められること
- コミュニケーション能力
- 前向きな思考
- 論理思考力と言語化能力
- リスクマネジメント能力
- パソコンスキル(エクセル、パワポなど)
薬剤師としてのスキルというよりはビジネスマンとして一般的なスキルが求められます。
本部に行きたい場合は書籍などで以下のようなことを学んでおくと良いかと思います。
- マネジメント
- 論理思考(ロジカルシンキング)など
- 財務諸表(PL、BS、C F)
- マーケティング
他には新聞やWebで日本の医療費、調剤報酬関連の最新情報も把握していると上司からもこいつ出来ると思ってもらえやすくなるかもしれませんね。
逆にほとんど求められないこと
- 調剤スキル
- 薬剤師の専門知識
- 薬の知識
現場で優秀なら本部でも優秀と思う人もいるかもしれませんが、実はあまり関係ないかもしれません。
先ほど述べたコミュニケーション能力や前向きな思考は必要ですが、調剤スキルや薬剤師としての専門知識はそれほど求められません。。
※DI室などはまた話が別ですが。。。
薬剤師の知識があまり必要ないのは意外ね。
知識は聞いたり調べればいいからね。それよりも提案力や論理力の方が求められるかな。
ドラッグストア・調剤薬局の本部社員になるために転職は必要か?
会社やあなた自身の状況によっては必要です。
転職した方が良いケースは以下のような場合です。
- 直属の上司との相性が悪い
- 会社の風土や方針が合わない
- 会社の業績が悪い
上司との相性が悪い
上司との相性が悪いと、本部への異動や昇格にマイナス影響があります。このような場合は如何に成果を出そうと正当に評価されないことがあるため、上司が異動になるのを待つか、転職するかどちらかを考えた方が良いとかと思います。
会社の方針や風土と合わない
上司と相性が悪い場合と似たような状況です。違いは上司が異動になっても同じような考え方を持った人がまた上司になることになるため、待っていても時間が解決することはありません。
コンプライアンス違反やグレーなことをしていたり、現場社員を大切にしていなかったりと、働いていると感じ取れることはたくさんあると思いますので、違和感がある場合はさっさと別の企業に転職する方が良いと思います。コンプライアンス違反をしているような会社に勤務し続けていると自身の資格や経歴にも傷がつく場合があります。
某中古車販売チェーンなどは最たる例ですよね
会社の業績が悪い
会社の業績が何年にもわたって悪い場合や成長していない場合は要注意です。
そもそも会社が成長していないと空きポストが回ってきません。
上司や本部社員が比較的若い会社であればポストが多く本部に異動する可能性が高まります。
つまりこのような場合は即転職を考えた方が良いです。自分の道は自分で切り拓きましょう。
転職する場合は本部社員になりたいことを伝えるべき!
転職する際は人事担当者に「ゆくゆくは本部で何をしたいのか?」「現在の本部の状況」などを聞いてみることをお勧めします。
面接段階で本部に行きたいことを伝えているとマネジャーにもその事が伝わります。
本部に行きたい人なんだという前情報を持った上で接してくれますので、必然的に可能性が高まります。
面接の時に本部に行きたいって伝えても大丈夫なものなの?
むしろ伝えてた方がいいと思うよ。人事もマネジャーもキャリアを含めて常に考えるからね。
まとめ
長々とお読みいただきありがとうございます。
今回の記事のおさらいです。
調剤のない仕事はコレ!
職種 | 難易度 | 30代平均年収 |
---|---|---|
製薬会社(研究開発ほか) | ★★★★★ | 500〜600万円 |
製薬会社(MR) | ★★★★ | 500〜700万円 |
医薬品卸の管理薬剤師 | ★★★★ | 400〜500万円 |
調剤薬局チェーン(本部) | ★★★ | 500〜750万円 |
ドラッグストア(本部) | ★★★ | 600〜800万円 |
比較用)調剤業務の転職 | ★ | 500〜650万円 |
おすすめの職種は調剤・ドラッグストアの本部社員
おすすめな理由は以下の通りです。
- 本部社員への間口が広い
- 様々な業務内容がある(特にDgs)
- 調剤業務で培った経験と知識が活かせる
- 薬剤師手当がもらえる
調剤のない仕事に就くためには転職は必要か?
会社の状況やあなたの今の状況によっては必要になります。
- 直属の上司と相性が悪い場合は転職を視野に入れよう
- 会社方針と合わない場合も転職を考えよう
- 会社が成長していない場合は転職必須
今は長く働けば給与が上がり続ける環境じゃなくなってきているよね
そうだね。ずっと現場だと頭打ちだから、今の環境に満足していないなら自らの判断で一歩進む勇気も必要かもね。
みんなのキャリアアップ、転職を応援してます!